【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第64章 another:10
急に不安になってきてしまっていると、山口君が声を掛けてくれた。
「谷地さんも池ヶ谷さんも浴衣凄く似合ってるね。池ヶ谷さんの三つ編み初めて見るけど、髪型変わると印象変わるんだね」
「そ、そうかな?変、だったかな……」
不安げに言うと山口君は慌てた様子で言う。
「そ、そんな事ないよ !? すっごい似合ってて可愛いと思うし!ツッキーもそう思うよね !? 」
「……なんでいちいち巻き込むの」
嫌そうな声色の月島君の方を見ると、影山君と日向君がいない事に気が付いた。
「影山君と日向君は……?」
「あー、あの二人はねぇ」
山口君が説明しようとした所、後ろから菅原先輩の声がして振り返った。
「ごめんごめん!待たせたべ?旭の奴が変に内気になるからさぁ~」
「スガ、それは言わない約束だろ」
菅原先輩の言葉に東峰先輩は慌てふためいている。これで全員集合……ではない。
「あれ?日向と影山は?」
二人の姿が見えずに澤村先輩が言うと、人混みの中から二人が現れた。
その手には人数分のラムネの瓶があり、買い出しに行っていたみたいだった。
全員揃ってるのを見て、日向君が笑顔で駆け寄りながら言う。
「お待たせ~!買ってきたよ、ラムネ!」
「なんだお前ら、集合まで待てなかったのかよ~」
「罰ゲームみたいな感じなんですけどね」
悔しそうに笑いながら言う日向君から、人混みの中から出てきた影山君に視線を移した。
青色と白色の市松模様の浴衣に身を包んでいた。長身の彼にとても似合っていて、まるでモデルみたいだった。
「これで全員揃ったな」
澤村先輩の言葉に皆が見る。
「今日は折角貰えたリフレッシュ時間だ。楽しむのは良いけど、羽目だけは外すなよ。特に田中と西谷!」
名指しで言われた二人は頷きながらラムネの瓶を持って答える。
「分かってますって大地さん!」
「潔子さんに近寄ろうとする不届き者は追い払うんで!」
「ノヤっさん!今日はやっちゃんと池ちゃんもいるぞ!」
「確かに!」
「全然分かってないだろうが!」
ワーワーと騒ぐのを見ていたらスっと目の前にラムネの瓶が来た。
顔を上げると影山君が瓶を渡してきていたので受け取る。
「ありがとう」
「……ん」
結露で濡れる瓶を眺めていると、少し屈んだ影山君がコソッと耳打ちした。
「俺から離れんなよ」
