【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第64章 another:10
欲が出てきてしまい、普段は殆どしないグロスを薄く唇に塗ってしまった。
変に気合い入っていないか不安になりつつも、時間が来てしまうので神社へ向かって行く事にした。
◆
「途中で仁花ちゃんに会えて良かった」
「本当本当。お祭って空気なんか良いね」
神社に向かう途中、偶然仁花ちゃんと鉢合わせて二人で集合場所へ向かっていた。
カランカランと下駄の鳴る音を聞きながら、互いの浴衣に付いて褒め合いながら歩いていく。
「やっぱり仁花ちゃんは黄色系が似合うよね」
「ありがとう。伊織ちゃんも桃色系が似合うよね」
きゃっきゃっと女子の会話をしつつ、私達の話題は自然と清水先輩へと変わっていく。
「清水先輩は何色かな?」
「清水先輩は落ち着いた人だから紺色とか?」
「黒も似合いそう」
「素敵な大人の女性だよねぇ」
清水先輩の浴衣の色を想像しながら歩いていると、あっという間に神社へと到着した。
「潔子さんお美しい!」
「烏野の女神です!」
「二人とも五月蝿い」
神社に到着すると聞き慣れたやり取りがすぐに聞こえてきた。
鳥居前に皆がいて、田中先輩と西谷先輩が清水先輩に膝を付いて拝んでいる。
そんな姿を道行く人達が見ているので、早足で駆け寄って声をかけた。
「お待たせしましたっ」
「みみみんな目立ってるよっ!」
私と仁花ちゃんが声を掛けると、田中先輩と西谷先輩がこちらを見てすぐに言ってくれた。
「おっ!やっちゃんに池ちゃん!二人も来たか!」
「二人も浴衣似合うな!」
「ノヤっさん……烏野排球部はマネに恵まれ過ぎている……」
「そうだな、龍……」
拝み出されたので仁花ちゃんと顔を見合わせて返答に困っていると、清水先輩が前に出てきてくれて、二人を無視して言う。
「二人とも着いたね。後は澤村達だけだね」
辺りを見回してみるけれど、まだ澤村先輩達の姿は見えなかった。
人が増えてきたしそろそろ来てもおかしくない時間なので皆で待つ。
田中先輩と西谷先輩が落ち着いたので、チラッと皆の事を見た。
「清水先輩、その浴衣似合います~」
「仁花ちゃんありがとう」
清水先輩は私達の予想通り、落ち着いた色合いの紺色の浴衣を着ていた。
アップにしている髪型が凄く大人っぽくて落ち着いていて、本当に憧れてしまう。
(……私幼かったかな)