【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第62章 another:8
スポーツショップで影山君は予備のサポーターを買って、何処に行こうかと歩いているとふっと目に入った店舗に立ち止まってしまった。
(……ベビー用品店)
ついつい自分達がしている事の到着点に身体が反応してしまった。
赤ちゃんを抱きかかえながら入る夫婦。お腹を膨らませている……妊婦さん。
「っ!」
時期に自分もあんな姿になるのかと思ったら、背筋がゾクッとした。赤ちゃんがお腹にいるのがひと目で分かる姿を、私は隠す事が出来るのだろうか。
「……行くか?」
影山君に尋ねられ、必死に顔を振って拒否した。
本当は行きたい。どんな物が売っているのか見たい。これから何が必要となるか、値段はどれ位なのか本当は知りたい。
でも流石に私達がカップルに見えたとしても、高校生であるのは分かると思う。
高校生カップルがベビー用品店を見ていたら流石に目立ってしまうから。
私が葛藤しているのを分かってくれているみたいで、暫く黙っていた影山君が優しい表情で頬を撫でながら言う。
「見る位なら高校生だって良いだろ?」
「良いの……かな……」
私が小さく答えると優しい表情のまま、影山君に手を引かれベビー用品店に足を入れてしまった。
そこは未知の世界であり、やっぱり入った事に恥ずかしくなってしまって俯いてしまう。
そんな私の肩を抱き寄せ、少し周りを見回した影山君があるコーナーへまっすぐ進んで行った。
「…………」
マタニティウェアコーナー。ベビー用品店にこんな所があるのだと、ぽーっと見つめた。
赤ちゃんだけじゃなく、妊婦さんの為の物もあるんだ、と見ていると影山君は平気な顔で手に取り言う。
「思ったよりも値段高くならなそうだな。服まじまじと見るの初めてだけど、授乳口とかあるのか。そうだよな、必要になるよな」
マタニティウェアの作りを見ながら、服を私に宛てがい似合うかどうか見ているみたいだった。
高校生がこんな事しちゃっていいのかと恥ずかしいけれど、真剣に選んでくれている影山君が素敵過ぎてぽやっと思考回路が回らなくなってしまう。
恋人じゃなくて夫婦にでもなった気分でふわふわしてしまう。
「伊織はこのワンピースが似合うな」
そう言いながら値札を確認すると、スタスタとレジへと向かおうとしてので慌てて腕を掴んで制止させて尋ねた。