【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第60章 another:6
「んっ……」
東京遠征の脱衣所でお風呂上がり着替えていたのだけれど、フロントホックが上手く閉まらずつい声が出てしまった。
「伊織ちゃんどうかしたの?」
隣で髪の毛を吹いている仁花ちゃんに声を掛けられ、慌てて言う。
「ううん!何でもないよ!お風呂気持ちよかったよね」
誤魔化す様に言うと、目まぐるしく動き続けた事を思い出し、仁花ちゃんは溜息を漏らしながら言う。
「本当だねぇ~、私運動部のマネージャー初めてだけど、皆体力凄いし目が回りそうだよぉ」
強豪校に混ぜてもらっての合宿なので、普段の何倍も人がいればやる事も多い。その分マネージャーの人数も多いので仕事は分担しているけれど、選手達の熱気にマネージャーは負けそうだった。
「それはそうとぉ~」
仁花ちゃんと話していた所、気配を消して近付いていたらしい、梟谷のマネージャーの白福さんがツンとつついて言った。
「ひゃっ !? 」
「烏野のマネージャーさんは本当に良いのをお持ちで。東北美人さんはおっぱいも大きいんだねぇ、って初日から思ってたよぉ」
「白福止めろ」
白福さんが私の胸をつつくのだから、それに呆れた雀田さんに引きずられながら連れていかれた。
同性から見てもやっぱり私の胸は大きいのか、と思っていると隣にいる仁花ちゃんがずずーんと落ち込んでいた。
「ひっ仁花ちゃん !? ど、どうしたの?」
「そうなんだよねぇ……伊織ちゃんってすっごいスタイル良いよね……私などこんな真っ平らでございまして……」
私の胸を見ながら自分の胸に手を宛てながら言うので、どうしたらいいのか分からなくて慌ててしまう。
「そそ、そんな事ないよ!そもそも私が変に大き過ぎるだけで……」
「それでもやっぱり小さいよりは大きい方がいいよぉ」
どんどんネガティブモードに入ってしまう仁花ちゃんへ掛ける言葉に詰まってしまう。私が言っても逆効果な気がしてきて……。
「まぁでも池ヶ谷さんスタイル良いのは事実だし、男共が変な目で見てるの見つけたら殴っておくから」
「揺れるおっぱい見るとついつい目で追うもんねぇ」
「アンタは男目線にならない!」
雀田さんと白福さんの掛け合いを見ながら無理矢理フロントホックを止めてシャツを着た。
(…………胸……苦しい…。)