【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第53章 Another:1
思ったよりも時間が掛かり、夏とは言え外は真っ暗になってしまっていた。
時間も時間だし、親が不在とは言え遅くなるのは良くないと思っていた所、影山君の家の近くなので飲み物を出してくれると誘ってくれた。
この誘いに甘えてしまったのが、全ての始まりになるなんて……。
◆
影山君の部屋は男の子らしい事と彼らしくスッキリと物の少ない部屋だった。熱気の籠る部屋のエアコンを付けて、冷気を浴びて涼んでしまう。
「暑かったなぁ」
汗で張り付くワイシャツに向かってパタパタと仰ぐ。少しでも早く汗が引く様にと。
「影山君の部屋………」
涼しくなってきた部屋を改めて見て、そう言えば男の子の部屋に入るなんて初めてだったと顔が赤くなった。
変に意識してしまうので、落ち着く様にと首を振っていると部屋に転がるバレーボールが目に入った。
『私のバレーボール持って欲しいな』
余計な事を思い出し、顔から火が出る程に赤くなってしまう。友達が本気で言ったのかどうか分からないけど、今日の私はおかしい位に気にしてしまっている。
(そもそも影山君はそんな事考えたりしてないし、私達はチームメイトって関係なだけ!)
そう、部活の仲間でチームメイトで選手とマネージャーと言う関係。それ以下でもそれ以上でもない。
高校生になると、どうも女子同士でも『そっち系』の話題は出てくる。
興味が出ている年頃だから仕方ないのかもしれないけれど、それに巻き込まれる側は困るし相手を勝手に決められると言葉に詰まってしまう。
「…………」
チラッと視線を胸元に落としてしまう。体型から見て少し大きくなってしまっていて、胸のサイズがあるのが悩みだった。
それを言うと贅沢な悩みだと掴まれたりするので、今は口にしない様に心掛けている。
「……影山君も大きい方が好きなのかな……?」
無意識にそう呟いていて、ボンと赤くなる。だから違うと雑念を振り払おうとするけど、上手くいかない。
「…………変な事言われたから意識しちゃってるだけだよ」
ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせていると、部屋の外から足音が聞こえ、影山君が入ってきた。
お盆に飲み物を置いてもってきてくれた姿はやっぱり何時もの影山君であり、友達に言われた事は綺麗さっぱり忘れようと決めた。