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【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】

第53章 Another:1


 確かに影山君は長身で寡黙で、女子に人気がある事は知っている。顔立ちもスっとしている彼は確かに格好良い人。それは間違いないと思う。

(格好良い、とそれが必ずしも恋愛になる訳じゃないんだけどなぁ……)

 理解してもらえそうになく、諦めるしかないかな、と思いながら部活の時間を迎える事が出来た。
 今日は部活を早上がりしてスポーツショップに買い出しに行く事になっていた。清水先輩に頼りっきりなのも良くないし、自分自身が学びたくて申し出た。
 で、その時にたまたま近くにいた影山君が昔からバレーをやっていて詳しいとの事で、わざわざ付き合ってくれる事になっていた。
 チームメイトと買い出しは初めてで少し楽しみにしていた。何を考えているのか余り分からない影山君を知れるきっかけになれると良いな、と思いながら。

(……あれ?)

 視線を感じて振り返ると影山君と目が合った。今日の買い出しの件で話でもしたいのかな?と思って話し掛け、二人で早上がりでスポーツショップへ足を運ぶ。
 何軒か案内をしてもらい、色々と教えてくれた。
 影山君は相変わらずの様子だったけれど、身長差がある私の歩幅に合わせて歩いてくれたり、気遣いが出来る人なんだと知る事が出来た。

「エアーサロンパス一つでも大きさとか色々あるんだね」
「ああ、そうだな。使いやすいサイズが一番だけど」

 棚に手を伸ばしながら聞いていると、影山君の手も伸びてきた。触れる事はなかったけれど、手の大きさを知り急に頭の中に友達に言われた言葉が流れた。


『影山君とのデート、伊織だったら絶対に落とせるから!イケメン彼氏ゲットしてきなよ!』


 思い出したら急に顔が熱くなってしまって、少し俯いてしまった。変な事を言われて今更気にしても、と自分自身に言い聞かせる。
 そもそもデートじゃなければ影山君だってそう言う色恋沙汰には興味がなさそうなタイプの筈。バレーの話以外はほぼした事がないのだし。

「池ヶ谷さん?」
「あ、うん」

 呼ばれて慌てて顔を上げると、私に合わせてくれて屈んでいた影山君の顔が隣にありびっくりしてしまう。真っ直ぐに私を見てくる目が……なんだか、何時もと違っている気がして。
 ドキドキするのは考え込んでいた所為だと思い、笑顔で影山君の話に耳を傾ける事にした。
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