第47章 第四十四話　ヤサシクアマク

「ぅん……優しく動いてくれれば……先っぽから根元まで何回挿入（いれ）て動いてもいい……」

　また甘くとろける様な声色に、喉を鳴らさずにいられなかった。
　今までにない池ヶ谷の求め方。甘く誘惑されて俺が堕ちない訳がない。
　分かってやっているとは思わないので、池ヶ谷の天然には困ったの一言に尽きる。
　池ヶ谷の膝を掴み、ゆっくりと深くまで挿入を始めた。
　結合部の水音もゆっくりとした音を鳴らしていて、挿入（いれ）ていく時の音はくちゅりぬちゅりと音までゆっくりと長く聞こえる。

「ハァ……伊織……ハァ……気持ちイイか……？」

　呼吸が荒くなりながら尋ねると、池ヶ谷は下腹部に手を宛ながら答えた。

「ぁあっ……きもち……気持ちイイ、よ……優しいの気持ちイ……」
「……んな甘ったるい声、出しやがって……もっと聞きたくなるだろ……」

　ぐちゅ、ぬちゅ、とゆっくりと、亀頭が膣外（そと）に出てしまいそうなまで抜き、同じ音を鳴らしながら根元までぴったり挿入（いれ）る。
　イくには刺激が物足りないかもしれないが、池ヶ谷の反応を見ていればそれだけで興奮は十分だ。

「ふぁっアッんんっ」

　甘い喘ぎ声が池ヶ谷の部屋から途切れる事無く響く。何時もと違う声に気が付けば夢中になっていた。
　優しい挿入に甘い喘ぎ声。薬でもやってるかの様に感覚が麻痺していく。
　激しく犯すよりも思考が気持ちイイ。甘い声で俺を狂わせてほしい。

「伊織っ伊織っ」
「飛雄さまっ飛雄さまっ」

　抱き締めて欲しいと両腕を伸ばしてくるので、Tシャツを脱いで全裸になってから抱き締める。
　肌と肌が直接触れ合い、柔らかくてでも弾力がある乳房を胸板で潰れるのを感じる。
　互いに離れたくないと抱きつき合い、でも挿入する腰の動きは止めない。

「はぁっァッ……飛雄さまぁ」
「伊織っ……ハァ……もっと俺の事、呼びながら鳴いてくれ」
「飛雄様っふぁっアッ優しい……ゆっくり優し、いの……もっと……」

　呼び求められ、答えながら唇を重ねて口内に舌を入れ、池ヶ谷の舌を絡めとった。
　身体総てを重ね合い、まるで愛を確かめ合うかの様なセックスをする。
　緩やかに絶頂に向かい、唇を離して告げる。

「伊織っ……もう射精（で）るっ……子宮内（なか）に……」
「……………ぁ…………いいよ……子宮内（なか）に射精（だ）して、も……」