【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】
第37章 第三十四話 デンシャデ
家に戻り適当に服を選んで着替える。何時もの調子で着替えたのだけど、鏡に映る姿をみて立ち止まった。
この格好は流石にあの池ヶ谷と不釣り合い過ぎた。おしゃれなんか興味ないのだけれど、出来るだけ釣り合う姿になりたい。
そう言えば親の趣味で買ってきた服が合ったな、とその服に手を伸ばす。セッターに関係ないカジュアルな服装だったけれど、あのワンピース姿の池ヶ谷の隣に立つにはつり合った服装をしている。
着替えを終わらせるとすぐに玄関へと戻り、鏡でつい自分の姿を確認してしまう。服装は……まぁ親が選んだ物なので変じゃないし、寝癖もないから髪形も悪くない。
けどちょいちょいと髪の毛を弄ってから池ヶ谷の家へと足早に戻った。
◆
「お、お帰りなさい」
合鍵を貰い、自由に出入りが可能となった池ヶ谷家へ足を踏み入れる。俺が戻っている間に掃除を済ませていたらしく、廊下もベッドも綺麗になっていた。
窓を開けて換気もしたらしく、空気も澄んでいた。
「出掛けられるか?」
「うん、お掃除も終わらせたし大丈夫だよ」
相変わらず恥ずかしそうに胸元を隠しつつ言うので、そっと手を取って恋人繋ぎをしながら尋ねる。
「で、何処まで行くんだ?」
「ちょっと遠いのだけどね…………」
池ヶ谷の説明を受け、二人で駅前に到着した。
行き先は電車で五駅先で結構都会側になるな、と路線図を見ながら考えていた。まぁ近場で誰かに見つかったら面倒事になるので遠い方が安心出きる。
切符を二人分買ってきた池ヶ谷が小走りで俺の所へ戻ってきた。その可愛らしい姿を見つつ、キスマークだらけである胸元を見ると恥ずかしそうに隠されてしまった。
「平日だけど結構人いるから気を付けろよ?」
「うん」
ホームに移動して電車が到着するのを待つ。八月の気温は暑く、どうしても汗が出てきてしまう。
それは池ヶ谷も同じで、ぽんぽんとハンカチで胸元の汗を叩き拭いていた。誰もがやる行動も池ヶ谷がやると艶っぽい姿になると、眺めている間に電車が到着をした。
学生には夏休みだし、行き先が都会側だとどうしても人が多い。満員の一歩手前になりそうな車内へ乗り込み、一両目と言う事もあったので角の場所に池ヶ谷を立たせ、護り隠す様に俺が前に立ち電車は発車した。