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【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】

第27章 第二十四話 ユメダッタカ ノヨウナ


「池ちゃんもう大丈夫べ?」
「またぶり返したら怖いから無理だけはしないでね」
「俺池ちゃんが休んでる間に新しい技作ったから後で見てみろよ!」
「西谷が言う事は無視していいからな」
「夏風邪ってなかなか治らないから大変だよねぇ~~。俺も昔引いた時はもう死ぬかと思ったよ」
「旭さん、それはオーバー過ぎるんじゃ……」

 体育館に池ヶ谷がいると一斉に取り囲まれた。一週間ぶりの部活復帰なのだから当たり前なのかもしれない。
 元から好かれ易いタイプなのだから、部活中も池ヶ谷が一人でいる事の方が珍しかったのだし。
 あの輪の中に入る自信はないし、入った所で独占欲が出てしまうのは目に見えているので、気を紛らわせる様にストレッチを丹念に行う。
 良い具合に身体がほぐれた所で池ヶ谷の方へ目をやると、日向と楽しそうに話をしていた。
 あの笑顔が池ヶ谷から目が離せなくなった理由だ。誰にでも平等に見せるあの笑顔を独占したいと制御が効かなくなっていくのを感じていて、一週間前無理矢理奪ってしまって今がある。
 笑顔を他の奴に見せていても、それ以外は俺にしか見せていないのだとグッと感情を堪えた。

「俺今新しく特訓してるんだ!」
「そうなの?日向君は努力家だし早く結果が見えるといいね」
「おう!春高までにはばっちりになるぜ!」

 胸を張って言う日向は本当に楽しそうにしている。
 日向はやっぱり池ヶ谷の事が好きなのだろうか?その日向と楽しそうに離している池ヶ谷を見ていると、日向が好きな奴なのかと不安になってくる。

「日向何時までも池ヶ谷と話してないでアップしろよ」
「あっはい !! 」

 澤村さんに言われると、日向は慌てて池ヶ谷から離れていく。手を振ってから田中さん達の所に言ってアップを始めた。
 日向から解放されて一人になった池ヶ谷を見ていたらバチっと目が合った。別に今までだって何度か部活中に目が合う事なんて何度も合った。
 別に初めてではない。……なのに物凄く心臓が高鳴って咄嗟に目をそらしてしまった。
 目を逸らされた事に池ヶ谷は何も思わなかっただろうか。動機が早くなっていくので胸元を掴みながらそっと池ヶ谷の方を見た。

「…………っ!」

 池ヶ谷はまだ俺の事を見ていた。――――驚いた表情で。
 あんな表情は初めて見た。俺がさせたのかと反射的にまた顔を逸らしてしまう。
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