第12章 近親相姦シリーズ 月島蛍の場合
誰にも言えない秘密。
絶対に知られてはいけない秘密。
その秘密を抱えて、今日も生きていく。
近親相姦
月島蛍の場合
「本当に小さいよね」
くすくすと笑いながら頭に手を置いてくる存在に対して、眉間に皺が寄る。
(月島)家の長兄次兄は兎に角長身である。
そして、末妹である自分だけは何故か小柄である。
兄二人は百九十近い身長に対し、自分は百六十もない。
長兄の明光は身長の事をからかったりしてこないのだが、次兄の蛍は兎に角小さい事を小馬鹿にしてくるのだ。
「どうせ私はチビだよっ」
自分の頭の上にある手を払い除けてそう言い放つ。
同じ兄弟なのに明光と蛍の性格は真逆であり、明光は優しい兄。蛍は意地悪な兄だった。
「ちゃんと牛乳飲んでる?ちゃんと寝てるの?」
ケタケタ笑う蛍にイライラが溜まっていく。
どうしてこうも蛍は人を小馬鹿にする様な言い方しか出来ないのだろうか。
「蛍、嫌がってるだろう」
二人のやり取りを見てくれていたらしく、明光の助けの声が聞こえた。
明光の姿を確認するとすぐに駆け寄って、告げ口の様に言ってやる。
「明にい!蛍にい本当に性格悪い!」
「蛍、余り虐めすぎるのは良くないぞ?」
明光を味方に付けてその後ろに隠れてしまうと、蛍は小さく舌打ちをして自室へと行ってしまった。
蛍がいなくなるとすぐに明光に尋ねた。
「ねぇ、蛍にい何で私に意地悪ばっかりするの !? 」
「うう〜ん……そうだなぁ……」
尋ねられた明光は必死に理由を考えてくれている様だった。
明光と蛍の二人の間も少し確執があり、離れていた時期が合った為に蛍の事を把握しきれてはいない。
「すぐにちびちびって!確かに明にいと蛍にいと比べたら私なんて小さ過ぎるけれど、酷いよ!」
「蛍は素直になれない性格だし、愛情の裏返しだと思って、な?」
明光の言葉に納得出来なくて頬を膨らませると、優しく頭を撫でられた。蛍の事は気に入らないけれど、明光に言われたら受け入れるしかない。
「明にいが言うから特別に許すだけだからっ!」
明光は今日も変わらずに仲の悪い弟妹達に苦笑いせずにはいられなかった。
◆
自室へ戻った蛍は不愉快な気分のまま、ごろりとベッドへ横たわった。
不愉快な理由は言わずとも妹の事である。