第3章 影山飛雄夢 チョコレートにはご用心
麦茶が美味しいと思いながら勉強を再開させようとするのだけれど、全く頭に入らなくなってしまった。
「んん〜?」
今日の自分はおかしい、と思っていると影山の手も同じ様に止まっているのが見えた。
「ちょっと、人に付き合わせてるんだから、勉強止めないでよ」
「いや……頭に全然入ってこなくて」
影山も同じ状況なのか、と思っていた所、影山は立ち上がってストレッチを始めたのだ。
「ちょっと身体が動かしたら変わるかもしれねぇ。お前も座りっぱなしだし、軽く解しておけよ」
言われてそうだな、と思いシャープペンを置き伸びをしてみる。
凝っていたのか、伸びをするだけで少し楽になった気がしたので私も立ち上がってみた。
「なあ」
「何?」
「気分転換になんかしないか?」
影山の提案に対し質問を質問で返した。
「なんか、って何よ?」
「そうだな……」
暑そうにエアコンを見た影山は、とんでもない事を言い出した。
「なんか暑いし、ジャンケンで負ける度に一枚ずつ脱ぐのはどうだ?涼しくなると思うし」
「はぁ?野球挙とか今時古過ぎるんだけど?」
何年前のネタなのよ、と眉間に皺を寄せながらに言うと、影山は強気な顔で言ってきたのだ。
「ジャンケン弱ぇのか」
馬鹿にされた気がしてカチンときてしまい、ついつい言い返してしまった。
「弱くないわよ。良いわよ、その勝負乗った。ただ負けた方が脱ぐ服は勝った方が指定する、にしない?」
「いいな、その方がスリルがある」
こうして、何故か突然の野球挙勝負を始めてしまった。
テスト勉強なんてほったらかしにして。
「ジャンケンポン」
「うっ」
一回目は私の負け。幸先悪いな、と思いつつもルールはルールなので、影山に言う。
「何脱げばいいのよ」
「そうだな……じゃあパンツ」
「はぁ?いきなり下着?」
「スカート履いてるから別にいいだろ?」
「分かったわよ」
スっとスカートの中に手を入れ、迷う事なく一気にパンツを膝下まで下げて、脱いで床に捨てる。
ノーパンでスースーするけれど、暑いから丁度良い気が何故かした。
「ほら、次のいくわよ」
「おう」
次は勝ってやる、と意気込んだお陰もあり、無事に勝てた。
「じゃあズボン」
「分かった」
ベルトを外し、ズボンを影山は脱ぎ捨てた。