第3章 影山飛雄夢 チョコレートにはご用心
「早く脱げよ」
「分かってるよ」
背中に手を回し、プチとブラのホックが外れる音がして胸元が涼しくなって、胸を出してしまっていた。
チョコレートにはご用心
何でこんな事をしているのだろう、と他人事の様に考えていた。
何がきっかけで始まったのか、思い出せずにいた。
テーブルの上に置かれているチョコレートに手を伸ばし、口の中に入れて食べる。
影山も同じ様にチョコレートを食べて言う。
「次も俺が勝つ」
「次は負けないんだから」
頭がクラクラする気がするけれど、負けたくないので気にしないで次の勝負へ入った。
◆
「勉強位、一人でやってよ」
「うるせぇな。分からない所があるから、教えてくれって言ってるだろ」
放課後、期末テストが近く赤点必須の影山に頼まれて、勉強を教える事になった。
そんなに勉強が得意ではないのに、人に教えるなんて面倒だと思いつつも、バレー部存続の危機と周りに頼み込まれて断れなかった。
大人数であの断れない空気を作るのは卑怯だ、と思いながら影山の部屋に来ていた。
「で、どの教科からやるのよ」
「今日は現代文」
「はいはい、分かったわよ」
諦めついたので、素直に影山に教えつつ、自分のテスト勉強も行っていった。
一時間位して、影山がダウンしたので気分転換にお菓子と飲み物を持ってくる、と言って部屋を出た。
そして持ってきたのが、見た事のない包み紙に包まれているチョコレートと麦茶だった。
チョコレートは糖分摂取に丁度良い、と口に含んで食べた。
「んっ……?なんかこのチョコ変な味しない?」
今までに食べた事の無い味のチョコレートに、顔をしかめていると影山も食べながらに言ってきた。
「なんか英語のパッケージだったし、外国製のなんだろ」
「外国製かぁ……」
それじゃあ日本人向けの味じゃなくてもおかしくないと、味を気にしつつも数個食べて勉強へ戻る。
それから十分位経った頃だろうか。なんだか身体がおかしい気がしてきた。
頭がクラクラしてきて働かない。勉強している内容も頭に入らないし、何より身体が熱かった。
「……なんか熱くない?」
「ん?……そう言えばなんかあちぃな。エアコンでも入れるか?」
ピッとエアコンのスイッチを入れる影山を見つつ、チョコレートを食べる。