第10章 魅せられて
夜半前、宇髄は家へと急いでいた。ひなたの誕生日はまだ終わっていない。
現れた鬼も、分裂する能力はあったが、下弦の鬼ではなく、任務は呆気なく終わった。
帰って、急いで湯浴みを終わらせた宇髄は、自室へと入る。
恋人同士になってから、ひなたは宇髄の部屋の布団で一緒に寝むるようになった。宇髄が布団を覗くと、ひなたが寝息をたてていた。なぜか宇髄の枕を抱きしめながら。
宇髄は考える。なぜ愛しい少女は枕を抱きしめて寝ているのだろう。
(これってあれか?一人は寂しくて、ってやつか?)
そうだとしたら、この少女は宇髄の香りのする枕を抱きしめて寝るくらい、宇髄がいないことが寂しかった、ということだ。
(相変わらず、可愛い奴だな。)
宇髄は起こさないように、自分の枕をひなたから奪うと、ひなたを仰向けにさせた。その上にかぶさると、ひなたの顔中にキスを降らせる。
「、、んっ、、、てん、げん、さま?」
ひなたが目を開いた。
「あぁ、ただいま。」
ひなたは目の前にある宇髄の頭に手を回す。
「お帰りなさい、天元様。ずっと、ずっと待ってました。」