第10章 魅せられて
ひなたの誕生日当日。
二人共、前夜に任務があったから、昼間はのんびり過ごしていた。今夜は二人共任務はない予定だ。
なんとなくひなたの挙動がおかしい気がするが、多分今夜のことを考えて、緊張しているのだろう。
夕餉はたまには外で食べようかと、話していると、庭から虹丸の声がした。
「下弦ト思ワレル鬼ガ出現。柱モ同行セヨ。」
「、、、任務か。間が悪いな。」
宇髄は、小さく溜息をついた。
「悪いな、ひなた。行ってくる。」
謝る宇髄にひなたは、慌てた。
「天元様が悪い訳ではありませんから。」
宇髄は隊服に着替えて、任務に向かう準備をする。
「行ってらっしゃいませ。」
ひなたがそう言うと、宇髄が振り返って、ひなたを抱きしめた。
「、、、帰ってきたら、覚悟しとけよ?」
宇髄は耳元でそう囁くと、顔を真っ赤にしたひなたのおでこにキスを一つ落として、任務に出た。