第1章 出会い
『先程は失礼しました。』
少女が深々と頭を下げる。
少女は蝶屋敷に住んでいる元村ひなたといった。
蟲柱である胡蝶しのぶに頼まれて届け物をしにきたとのことだった。
『まぁ、とりあえず頭上げろ。』
宇髄に言われて、ひなたは顔を上げた。
近くで見ると色白の可愛らしい少女だった。
『届け物ご苦労さん。胡蝶にも礼を言っといてくれ。』
『はい、わかりました。・・・ところで音柱様』
『なんだ?』
『一目惚れしました。ここに置いてください。』
先程と同じことを言われ、宇髄は小さくため息をこぼした。
『悪いが、、、』
『音柱様には、継子はいらっしゃらないですよね?』
宇髄が断りの言葉を言おうとしたのを遮る形でひなたが話し始める。
『先程の剣技、お見事でした。流麗であるのに力強い。いろんな方の剣技を見てきましたが、音柱様ほど美しい剣技の方はおられません。私、一目惚れしました。継子として、こちらに置いてください。』
ひなたは胸の前で手を組み、キラキラとした瞳で言った。
『あ、そういうことね。』
正直、モテる宇髄は、一目惚れした、と言われて自分に惚れたのだと思っていた。しかし目の前の少女はどうも違うようである。
『お前、胡蝶のとこの継子じゃねぇの?』
『そういうお話しもありましたが、お断りさせていただいたのです。ですから、大丈夫です。』
蝶屋敷に住んでいるというから胡蝶しのぶの継子かと思ったらそうではないようだ。
『継子ではありませんが、蝶屋敷を出るにはしのぶ様の許可を頂かないと。早速帰ってしのぶ様に相談してきます。』
ひなたは、宇髄の返事も聞かずに宇髄邸を飛び出して行った。