第1章 出会い
『一目惚れしました。ここに置いてください』
音柱、宇髄天元はそう言われた時のことを思い出す。
ことの始まりは1週間ほど前。
たまの休みではあったが、宇髄は鍛錬をしていた。
通状の屋敷よりも庭を大きくとってある宇髄邸では、そんな様子が度々見られた。
『ごめんください。』
玄関の方から声がする。若い女の声だ。
しかし刀を振るう宇髄は手を止めない。
『失礼します。』
刀を振るう音が聞こえたのだろう。人がこちらに向かってくる気配がした。
かたんっ
何かが落ちる音がした。
やっと宇髄は刀を止め、そちらを見た。
隊服を着ているので、鬼殺隊の隊員だろう。
まだ少女と呼べる年齢の女の子が立っていた。
足元には、何やら箱が落ちている。
さっきの、かたんっ、は少女が箱を落とした音のようだ。
『あのっ、音柱の宇髄天元様でしょうか?』
少女が落とした箱も拾わずにそう尋ねてきた。
『そうだが、お前は・・・』
『一目惚れしました。ここに置いてください。』
『・・・はぁ?』
宇髄は心の底から驚いた。