第1章 出会い
そして今。
宇髄の目の前には、大きな荷物を抱えたひなたが立っていた。
「今日からお世話になります。よろしくお願いします。」
ひなたが荷物を抱えながら頭を下げた。
「継子にするとは言ってねぇぞ。」
宇髄が呆れたように言う。
「そうですね。でも、しないとも仰ってません。」
ひなたは笑顔でそう言った。
(あん時お前は返事も聞かずに帰っただろ)
宇髄はそう思いながら、どうやって追い返そうか考えていた。
「失礼します。」
ひなたは宇髄の横をすり抜ける。
宇髄は考えていたために、ひなたを止めることが出来なかった。
「あっ、おい、待てっ、、、」
慌てて振り返った宇髄だが、ひなたはどんどん屋敷の奥に進んでいく。
「こちらは音柱様のお部屋ですね。そしたら、私は一番奥のお部屋をお借りします。」
ひなたは一番奥の、この屋敷で一番狭い部屋の襖を開けた。
「おいっ、話しを聞け。俺は継子にするなんて、、、」
「大丈夫です。私は家事も得意ですから。」
(いや、何が大丈夫なんだ。)
結局、ひなたに押し切られるように、二人の生活が始まった。