第7章 初めてのでぇと(後編)
「さ、腹も膨れたし、ちょっと遠回りして散歩しながら帰るか。」
「はい、天元様。」
宇髄はひなたの手を取って歩き出す。
ひなたは、何か言いたそうにしながらも、大人しく手を繋いでいる。
「桜ももう終わりだな。」
今歩いている川沿いの道は、たくさんの桜が植えられている。
その桜も満開は過ぎ、残った花もはらはらと花びらを散らしている。
「天元様。」
ひなたが立ち止まる。それに倣って宇髄も足を止めた。
ひなたは俯いていた顔を上げ、意を決して話し出す。
「私は継子にはしていただけないのでしょうか?」
宇髄は目を見張る。ひなたは必死だ。
「私が天元様の元に来てから半年程経ちます。稽古をつけていただいたのも数回だけ。どうしても継子にはしていただけないのでしょうか?それならはっきりと仰ってください。はっきり言っていただければ諦めます。諦めますので、、、」