第6章 初めてのでぇと(前編)
ひなたが着替え終わるのを、宇髄は待っていた。
ドキドキ・ソワソワしている自分に気づき、苦笑する。
(これじゃ初恋のガキみたいだ。)
その時気づいた。自分にとって、彼女が事実初恋であることに。
宇髄はモテる。言い寄ってくる女は山程いた。
その中から適当に選んで遊んでいた時期もある。
だか、その女達に夢中になることはなかった。どこか冷めている部分があった。
(マジかよ、、、)
宇髄は溜息をついた。
でも、それも悪くない、と思う自分もいた。
「お待たせいたしました、音柱様。」
ひなたの姿を見て、宇髄は目を見張る。
淡い色合いの着物を着て、髪をいつもの一つにくくっているのではなく、結い上げた姿は、隊服しかイメージになかった宇髄に衝撃を与えた。
「いいねぇ、派手に可愛いねぇ。」
自分の動揺を悟られないように、わざとおどけたように言った。
「すみません、このような普段着で。出かける機会もありませんでしたので、着物もあまり持っていないもので。」
「俺様が可愛いって言ったら、可愛いんだ。
胸を張れ。」
宇髄はひなたの手を取った。
「ほら、行くぞ。」
ひなたが何か言う前に、宇髄は歩き出した。