第4章 宇髄くんがんばる
ある日は、繊細な細工の簪。
またある日は藤の花の模様の手鏡。
さらにある日は、刺繍の美しいハンカチ。
宇髄は、ひなたへとお土産と称して贈り物をした。
しかしひなたは、不思議そうな顔で、小首を傾げながら、
「ありがとうございます、、、?」
と、言うだけだ。
せめて笑ってくれればいいのに、と宇髄は思う。
ひなたの好きな物を贈ろうと思っても、彼女の好みもわからず、とりあえず目についた物を贈っている。
やはりそれが問題なのだろうか。
(そう言えば、ひなたのこと、何も知らないな。)
名前と蝶屋敷に住んでいたことは知っているが、正直、それ以外に彼女の過去も知らない。
鬼殺隊に入るくらいだから、彼女にも何か暗い過去があるのだろう。それが知りたいと思う。
そしてその機会は意外と早く訪れた。