第3章 酒の席で
宇髄は煉獄の言葉に何故だかイライラを募らせた。
確かに継子だとは言っていないので、煉獄の言葉は正しい。
「申し訳ありません。」
宇髄が口を開く前に口を開いたのはひなただった。
「私は音柱様の継子になりたいのです。他の柱の方の継子になるつもりはございません。せっかくのお話しではありますが、お断りさせてください。」
「うむ、そうか。真に残念だ。
ひなた少女は宇髄一筋なのだな。」
「はい、音柱様一筋です。」
ひなたはそう言って微笑んだ。
「それでは私は失礼致します。」
ひなたは一礼すると、部屋から出て行った。
「宇髄、顔が赤いぞ。」
宇髄は左手で顔を覆っていたが、覆い切れない耳が、月明かりでも赤くなってるのがわかった。
「宇髄一筋だそうだ。すごい口説き文句だな。」
「、、、お前がそう言ったからだろ。」
そうは言ったが、宇髄は嬉しかった。
煉獄の誘いに乗って、継子にしてくれない宇髄のところを出ても良かったのだ。
だが彼女はそれをキッパリと断ったのだ。
「ひなた少女が好きなのだな、宇髄は。」
その言葉は宇髄の中にストンと落ちた。