第1章 祝い
104期の同期たちがケーキを準備して待ち構えているはずだった。
辺りを見回しても誰一人として同期の姿はない。
フィンはふんわりと桜の香りがただよう木の前で立ちどまった。
木の下に目線を落とす。
淡いベージュ色のシートの上には
「Happy Birthday Jean」
の文字が乗った小さなケーキが置いてある。
そして二人分のおいしそうな赤いケチャップのオムライスと軽食とコップ。
そして冷やされたシャンパンボトルが用意されている。
「なぁ‥‥これ‥‥フィンが用意したのか?」
ジャンが驚いた声色で話す。
「うん……」
コニーとサシャにはめられた‥…!!
フィンの顔は一気に熱を帯びる。
予想外のサプライズにフィンは豆鉄砲を食らった鳩のように、思考が停止する。
照れくさくてジャンの顔が見れない。
そう思いつつ恐る恐るジャンの方へと顔を向ける。
ジャンは長い指で面長の顔を覆った。
指の隙間から赤く染まった頬が隙間見せる。
喜んでいるようだ。
フィンはジャンの反応が嬉しくて飛びっきりの笑顔を向ける。
「ジャン!!お誕生日おめでとう!!」
朝から言いたくてうずうずしていた言葉は
フィンの口から喜んで飛び出ていく。
あまりの嬉しさにフィンは背の高いジャンに抱き着きぶら下がる。
ジャンの長い腕が私を包んでくれた。
「‥‥ありがとうな、フィン」
ジャンの照れくさそうな声で呟いた。