第1章 祝い
「ジャン‥…」
フィンは夕日に染まった頬をジャンに向ける。
「顔赤いぞ‥…?」
ジャンは不思議そうにフィンの顔を見る。
「あのね‥…」
フィンの震える声。
「あの‥‥‥私‥‥‥」
フィンは大きく息を吸って呼吸を整えた。
「ジャン・キルシュタインのことがずっと好きでした。
私は命の限りジャンを想い続けます。」
フィンの瞳から溢れ出す涙。
とまらない。
今まで通りの関係にはもう戻れない。
でもいい。
生きているうちに貴方に想いを伝えることができた。
それだけで私は幸せ。
ジャンは何も言わない。
困るよね。
貴方の瞳にはいつも私が絶対に勝てないあの子がいるもんね。
「ジャン。返事はいいから、帰ろう。」
フィンは涙を拭き立ちあがった。
視界が揺れ動いた。
フィンの腕はいきなり掴まれる。
ジャン・・・・?
声を出そうとしたときフィンの薄い唇に何かが触れる。
目を見開いた先にはジャンの切れ長の目元だった。
フィンはそっと目をつむった。
私‥‥‥
夢でも見ているのかな‥‥‥
しばらくの間、唇を重ねた。
そっとジャンの唇が離れる。
「俺もお前が好きだ。」
フィンの涙は溢れる。
とまらない。
ほんとに‥‥?
ジャンが私のことを‥‥?
話したくても溢れる嗚咽で言葉が出ない。
「フィン、そのままでいいから聞け。
俺もずっと好きだったんだ。
お前をもう離さない。
一生かけて守るよ」
ジャンは願掛けのようにフィンの額にキスを落とした。
ずっとこのまま抱き合っていたい。
暗くなるまで抱き合った。
二人は手を硬くつないで帰路についた。
ずっと大好きだよ。
ジャン、これからもよろしくね。
Fin.