第1章 祝い
私はフィン・ライト。
トロスト区に超大型巨人の出現時に再び破壊された壁。
壁内は巨人という絶望に満たされていた。
そんな中、彼は唯一生き残る事を諦めなかった。
同期の訓練兵を彼が鼓舞した時から、私は彼に想いを募らせていた。
彼、ジャン・キルシュタインのことはよく知っている。
叶わない相手に想いを募らせていることも。
私もあの子には絶対に敵わない。
__________________
今日は春の桜が舞い散る中、ジャン・キルシュタインの誕生日だ。
空は雲一つなく快晴で神様も彼の誕生を祝福しているかのようだった。
ずっと苦楽を共にしてきた104期の仲間たちと今日は盛大にジャンの誕生日を祝おうとコニーとサシャを中心にフィンも計画を一緒に立てた。
エルヴィン団長の粋な気遣いで104期卒業兵は私を含めて非番をもらった。
私はジャンを連れ出す係だ。
サプライズを成功させるために、彼を兵舎の外へと連れ出す。
「なんだよ~!
外に連れ出すなら訳くらい言えよ!!」
ジャンはめんどくさそうに私に手を引かれながら呟いた。
私は彼の言葉を無視して手をひっぱり温かい風の吹く街を歩いていく。
ショーウィンドウに反射した自分とジャンの姿に心を躍らせる。
少し強引だけどまるで彼と恋人のようにデートをしているようにも見える。
楽しくなってジャンに微笑みを向ける。
めんどくさいと言いつつ私の笑顔に付き合ってジャンもくしゃっと笑ってくれる。
そんないい奴のジャンがやっぱり私は大好きです。
想いを馳せながら街を軽やかな足取りで歩いていく。
早く驚き喜ぶ彼の姿が見たくて急ぎ足で計画していた場所に向かう。
淡く色づくピンク色に咲く大きな桜の木の下にたどり着く。