第1章 花を摘む?花を育てる?
自分は男じゃない。男みたいに振る舞っても、男にはなれない。
ましてや、仲良さそうに話していたグレイグさんのような逞しい男の人なんてと思っていたし。
「正直、シルビアさんは再会したグレイグさんのことが好きだと思ってて…」
シルビアはぷっと吹き出した。
そして、口元を隠すかのように手を添えて笑い出す。
「うふふふ、あなたそんなこと思っていたの?
グレイグは旧知の仲なだけよ。彼はすごく真面目な人だからついついからかいたくなるの。」
そういう態度が周りを誤解させるのでは?
という言葉はあえて飲み込んだ。
シルビアさんは優しく騎士道に長けているし、何より誠実だ。
しかし、こと人を傷つけない程度にからかうこともある。単なるイタズラ心なのだろう。
「そっか…」
私はふと、口元が緩くなるのを感じた。
どうしようもなく、そういう所も可愛いと思ってしまったからだ。
2人で話しているといつの間にか、時間が過ぎてシルビアさんにご馳走してもらったケーキも紅茶も無くなっていた。
シルビアさんも私も立ち上がりカフェを出た。