第2章 雨が降るとカゼが吹く
しかし、やられたのはごうけつぐまだった。
ばたりと音がしてから、剣をしまう鉄のスレる音がした。
チラッと目を開けると見たことある背中が雨に打たれ立っていた。
「ちゃん?大丈夫?」
「シルビアさん?なんでここに?」
ぽかんと間の抜けるような声が出る。
「なんでも何も、なかなか帰ってこないから探しに来たのよ。
良かったわ、間に合って…。」
心の底からホッとしたため息をつく。
すぐに温かい優しい表情で私を見つめた。
「さ?風邪をひく前に帰りましょう?みんなも待ってるわ?」
シルビアさんに言われ1歩足を出そうとしたがズキンとまた左足首に衝撃が走った。
「い……!」
「どうしたの?」
シルビアさんは痛そうに押さえる私を見て、しゃがんだ。
靴からチラリと赤くなっている足首を見る。
「これ、どうかしたの?」
「足を滑らせた時に捻ったみたいで…。」
「そう…。」
シルビアさんはひょいっと私を持ち上げた。
いわゆるお姫様抱っこ。
状況が分からず私は「え?」と声を上げキョロキョロする。
「じっとしてて…」
シルビアさんは優しく微笑んだ。
この人の笑顔はなんでこう優しいのだろう?
ってそんなこと考えてる場合じゃなかった!