第2章 プロローグ
『………』
頭の中でぐるぐると考えが回る、兄様の安全が保証されるのは願ったり叶ったりだ。が、相手は腐っても魔族…このまま終わる訳がない
「兄の安全とお前の安全が保証される、悪い条件ではないだろう?まぁ、お前の安全が保証されるのはここに住んだときに限られるが…」
『僕が、ここに住むだけでいいのか…?他に何か条件をつけてもなにもしないぞ!』
「嘘はつかん、住んでいるだけで良い。自由に過ごして構わん、但し正当な理由なく部下を襲うのは控えてほしいが」
『………住む、』
「む?……そう怖がるな、ちゃんとした生活を約束しよう。部屋もある、食事も服も融通を効かせられる。」
そう言うと魔王は一旦口を閉じた。目の前の子供が妙に小さく感じたからだ、小柄な身体がより一層小さく見えたのだ
「魔族と言えど常識はある。稚子は愛されて当然なのだ、俺たちの未来を支えるものたちに俺たちは感謝せねばならんのだ」
『………僕は、愛なんか要らない。ここにいるだけでいいならそうする』
「……まぁ、良い。何事もゆっくりで良いのだ、時間なぞ無限にある。打ち解けるなどあっという間よ」
『………打ち解け、なんかしない。魔族と人間だ』
「ふっ……いずれ話そう、この世界はお前たちが考えているものとは大きく欠け離れている」
『何だと…?おい、その話詳しく聞かせろ!』
掴みかかり話を聞き出そうとしたが、ヒラリとかわされ抱き上げられた
「夜も更けた、話の続きは明日だ。部屋は……どんな部屋が良いか?」
『…角の、小さい部屋でいい。僕には、それがお似合いなんだ』
「…そうか、ではそれにお答えしよう。稚子よ、ゆっくりと休むが良い。今までのことなぞ、夢のように思えば良いのだ」
魔王は一瞬顔をしかめたが、すぐに勇者にそう囁き歩き出した。勇者は抵抗しようにも歩く度に優しく揺すられ、魔王の手の温もりに抗えずゆっくりと目を閉じた
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魔王がパチンと指をならすと何も無かった廊下の一部分に綺麗な木製の扉が出現した
魔王は勇者を大事そうに抱えたまま、部屋の扉をくぐった