第2章 プロローグ
少し時間がたち、魔王と大きなソファーに座り本を読んでいる。とは言え、魔族共通語がわからない以上内容も理解できない
『………何で、僕に構うんですか』
「急に礼儀正しくなってどうした、何か不満があったか」
『……………別に、なんとなく。…です』
「ふふ、そうか。ユリウス、俺はお前に対してもう魔王として関わらないと決めた。だからお前も勇者をやめろ」
『……どう言うことだ、その言葉侮辱と見なすぞ』
「どう言うことも何も、魔王と勇者ではなく拾い子と拾った魔物だ」
『…………はぁ?』
「勇者ではなくただの子供、魔王ではなくただの魔物。それだけでいいじゃないか、それに俺も癒しがほしい」
『癒し……?は、ぅゎっ…!?』
魔王の腕が伸びてきたかと思うと、軽々と抱えあげられ魔王の膝の上に向かい合うように座らされた
「ふふ、やはり子は愛くるしいものだな」
『魔王らしく、ない…です』
「仰々しい話し方は疲れる、態度もな。四六時中そんなことしてられない」
『………』
僕の肩に顔を埋め、そう話す魔王に何故か親しさが湧いた。僕もなにかにこうして甘えたいのだろうか
『あの、』
「……ん?なんだ」
顔を上げた魔王の顔をしっかり見る、今までちゃんと見なかった魔王の顔に一瞬たじろく。紺色の瞳がまっすぐ僕を見ている
『ぇっと、お、願いがあり…ます』
「あぁ、何でも言うがよい」
『兄様に手紙を送りたい、です』
「分かった、ウルラに頼むとしよう」
『それと……』
「それと、なんだ?」
『…………』
こんなことを宿敵だったはずの、しかも魔王に言うなんてとても恥ずかしく思わず魔王の肩に顔を埋める
「はは、今度はユリウスの番か?」
『うぅ……』
何も言わずにただうめく僕の頭を魔王は撫で、髪を手で梳く
『……これから、よろしく…お願い、し…ます』
そう言ってまた魔王の肩に顔を埋めた
「っ……!?」
その間魔王は困惑し、そして心臓を掴まれたような感覚に陥った。赤い顔と上目遣いもたどたどしく発したその言葉も、最後に小さく呟いた魔王様という声にも全部戸惑い、そしてそれよりも大きな愛しさに襲われた
「無理して魔王様と呼ばなくても良いんだぞ」
『ぅっ、うるさいっ!これから世話になるんだ、当たり前だろう!!』