第2章 プロローグ
しばらくの間、書庫で本を眺めたり話を聞いていると誰かの足音が聞こえてきた
「邪魔するぞウルラ……なんだ、リザもいるのか」
「はは、ひどいな魔王様。俺がここにいるのが意外っすか?」
「あぁ、あまり見んからな」
「まぁ、レシピとか料理関係の本はここにはあんまり置いてないっすから」
「ところで」
魔王はそこで言葉を切ると、スッと鋭い視線をこちらに向けてきた。その鋭さに、まるで心臓を突かれたように思い肩が跳ねる
「今日は部屋にいると聞いたが、リザが連れてきたのか」
『………ごめ、なさ…っ』
「あー!魔王様!怖がらせちゃ駄目っす!」
「は、いや…そんなつもりでは」
「その目が怖いんすよ、子供に向ける目じゃない!」
「まぁ、一理ありますね」
リザさんは僕を隠すようにギュッと抱き締める、もふもふの尻尾が目の前で揺れている
「とにかくリザ、ユリウスをあまり連れ回すなよ」
「あは、それは無理っすよ。こ~んな可愛い子を部屋で一人にしてちゃ襲われる」
「それなら外に出ても同じだろう……」
『ぁ、あのっ……』
意を決して、二人に声をかけると言い合いをやめてこっちに振り向く。因みにウルラさんは本を読んでる
『僕、勇者です……だから、一人で大丈夫です…!部屋から出てごめんなさい……でもっ、リザさんは悪くないから怒らないで…』
そう言って魔王を見ると、眉間のシワが濃くなった
「はぁ……」
『………っ!ご、ごめんなさいっ』
「いや……怒ってはいない、が」
「ユリウス~!!それは可愛い過ぎるよ!何?上目遣いでちょっと震えてるとか最高すぎでしょ!」
『む…っ!?り、リザさぁ…苦しっ』
「こら、馬鹿。ユリウスが潰れてしまうでしょう、およしなさい。魔王様、私たちは少し私の私用で離れますがよろしいですか?」
「あぁ、助かる」
「イヤだぁ!ウルラのバカっ!!」
「馬鹿は貴方です、ではねユリウス。いつでもお待ちしていますよ」
ウルラさんは僕からリザさんを引き剥がし、頭を少し撫でてから書庫から居なくなった
「………ユリウス」
『は、はいっ…』
「……ふぅ、そんなに怯えるな。すぐに謝るな、お前を見ていると本当にどうしようもない程愛らしく感じるよ」
魔王はいつもより砕けた言葉と微笑みでそう言った