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【進撃】anemone

第1章 ハーデンベルギア


「予定では次の壁外調査後、その働き次第…あるいは、それまでの言動次第では憲兵に差し出すことになるだろうが本人には悟られるな」

信用できる人物かどうかを次の壁外調査後までに見極める。置いておけないと判断すれば、無許可で外に出た罪で憲兵に差し出すと言うことだ。
素性の知れない人間に仲間の手当てをさせていいのか?内部事情を探られるのではないか?と思うところはあるが、こいつの事だ。何か策があるのだろうと思いとどまる。

それに何かあれば殺せばいい。
許可は出ている。

女に今後の処遇を伝えに行くことになったため、三人で一つの明かりを頼りに地下へ続く階段を降りる。

地下牢につくと女はベッドに座ってぼんやりしているようだった。俺たちに気がつくと顔だけ向けて、多人数で来たことに何事かと目を丸くさせる。
最初に会った時は雨に濡れてお世辞にも綺麗とは言えない状態だったが、今は今でやつれた気もするし、黒く長い髪も艶がない。

エルヴィンが檻の鍵を開ければ俺達の間を隔てるものは何もなくなり、女もベッドから立ち上がって向かい合った。

「結論から言おう。君の名前は戸籍になかった。帰る宛てはあるか?」

「…ないです」

「なるほど。ではこうしよう。我々兵士は日々訓練の中で怪我人や死者が出る事も少なくない。医者である君には医務室で従事してもらい、その労働の対価としてこちらは衣食住の保証をする。何か疑問点は」

「………いえ、特に…」

「そうか。私は調査兵団団長のエルヴィン・スミス。モネだったね。改めて、宜しく頼む」

女は急な展開についていけてないようだったが、呆然とした表情のまま「よろしくお願いします…」と言うと、エルヴィンから差し出された手を取り握手を交わした。

「前に名乗ってるけど、私はハンジ・ゾエ。宜しく頼むよ」

後ろから声をかけたハンジには頭を少し下げ、エルヴィンの時と同様に「よろしくお願いします」と言うと、その後は俺の番とでも言うように目を向けてきやがった。

「…リヴァイだ」

「あ、はい…よろしくお願いします」

改めて近くで見るとそいつは俺を見上げるくらいの身長しかなく、とても鍛えられているような体には見えなかった。エルヴィンと握手した手はマメもなく、訓練も農作業もしてきていないであろう女の手だった。

「お前の部屋に案内する、ついてこい」
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