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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第91章 失踪ルート #01 エレンの目的



エレンはリリアの手を取るとただひたすらに前を向き歩いていた。
彼は一体どこへ向かっているのだろう。
来たばかりのこのマーレでなにか伝手でもあるのだろうか。


「エレン、どこに行くの?当てはあるの?」
「はい。とにかくここから離れます。ここだと仲間達に見つかってしまいます」
「でもどこに…」
「パラディ島から出発する前にイェレナと話をしてあります。この選択をした時に頼る人物を予め聞いていました。今からその人物がいる宿屋に向かいます」


エレンはユミルの民保護団体の演説を聞いてからどう行動するのかを決めるつもりだったらしい。
彼らとの対話が無理だと分かったあの時、パラディ島の仲間から離れ、一人で行動する道を選んだのだろう。


「まさかリリア兵長がついて来てくれるなんて思ってなかったので」
「ご、ごめん」
「いえ!違います、邪魔とかそんなんじゃないんです。何だかこう……心が今は落ち着いています。多分一人だったら不安だらけだったと思う」


エレンはリリアを見ると柔らかく笑った。
リリアはそれだけでついて来て良かったと思った。
きっと一人だったらこんな笑顔を作ろうともしなかっただろう。
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