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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第90章 失踪ルート プロローグ



「エレンどこに行くの?」

ユミルの民保護団体の演説を見に来ていたパラディ島の調査兵団達、出来れば彼らと話をしたかったがその演説の内容からそれは無理だと判断した。


そんな中、突然エレンが席を立ち、それに気付いたリリアがあとをついて来ていた。


「………どうして来たんですか。リリア兵長には関係ありません。戻ってください」
「嫌だよ、一人で抱え込まないで何でも言って?出来る事は協力するから」


エレンは全く顔を上げない。
視線を合わせたくないようだ。


「………どうしてオレに関わりたがるんですか?」
「大事な仲間だからだよ!!」


エレンが目を見開く。そして苦笑いをした。


「ほら…オレと同じじゃないですか…」
「え?」
「だってリリア兵長、絶対にオレの味方するじゃないですか!!」
「当たり前でしょ!!」
「それが嫌なんですよ!!!」


ガッと勢いよく肩を掴まれ壁に押し付けられてしまった。


「嫌いになってください!オレの事なんて!!ここで見放して下さい!!」
「嫌だっ!!!」
「じゃあオレはここからあなたを嫌いになります!!」
「私はならない!!何をされても!!」


エレンは歯を食いしばり拳を上げた。
その拳はリリアの顔目掛けて飛んできたが、ギリギリの所で避けると壁にエレンの拳がめり込んだ。
本気で殴ってきている。


「エレン……」
「次は当てますよ…」

するとガッとリリアがエレンの伸ばした腕を握った。
かなり力が強くエレンが顔を歪める。

「エレン……誰に向かって手上げてんの…」
「くっ…」


無理矢理リリアから手を引き抜くと間髪入れずに胸ぐらを掴み上げ投げ飛ばそうとした。
しかしリリアが踏ん張り動かない。
対人に強いリリアにエレンでは敵わない。

すると今度はリリアがエレンの足を引っ掛け転ばせ、地面に伏せさせると上に乗り上げて左腕を足で踏み、右腕を背中に回し固めた。

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