第90章 失踪ルート プロローグ
「いっ…!!!」
「エレン、諦めて」
エレンはため息をつくと力を緩めた。
「分かりました……戻ります」
「ホント?」
「はい」
エレンの言葉を信じ、力を抜いたその時だ。
リリアを跳ね飛ばし壁に打ちつけると、頭を固定し右手の手の平を壁に当てた状態で肘を掴まれた。
(マズイ…!!このまま押されたら折れる)
「リリア兵長」
リリアはゆっくりと振り向きエレンを見た。
エレンは大粒の涙を流しながらリリアを必死に押さえている。
こんなに泣くエレンを初めて見た。
どうしたの?
どうしてそんなに泣くの?
何が悲しいのか、つらいのか話してよ
一人になろうとしないで
「着いていく」
「……え…」
「エレンに着いていく。あなたを一人にさせない。何があっても一緒にいる」
だから一人で泣かないで
「リリア……兵長…」
ふっと力を緩めたエレン、リリアはゆっくり振り向くとボロボロとまるで子供のように涙を流している彼を優しく抱きしめた。