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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第88章 #88 キャッチボール



「イェレナー!!グローブはめて!!」
「え?」
「私からの愛のボールを受け取ってー!!」
「は?何を……」
「イェレナ」

戸惑っているとリヴァイが隣に車椅子を近付けた。

「早くグローブしねぇと。アイツは片腕無くしてから右の筋力強化してるからな。素手で取ったら手の骨折れるぞ」
「は?はぁ?!ちょっ…」

「いっくぞーー!!!」


リリアがボールを投げる構えをし、イェレナが慌ててグローブをはめる。
彼女が投げた瞬間、恐ろしくて目を閉じた。どれだけの豪速球が来るのだろうか。

「ひっ…」

しかし目を開けるとボールは大きく弧を描きまだ上空にあった。
リリアはかなり緩く大きくイェレナに向かってボールを投げていたのだ。


「あっ、あっ!」

余裕でボールを受け取るとリリアが両手を上げる。

「ナイスキャッチー!!私にも投げてー!!」


手に持っているボールを見つめるイェレナ、瞳からポロッと涙が溢れたが、拭うとリリアに向かってボールを投げ返した。
そして再びリリアからボールが投げられる、二人はキャッチボールを繰り返して笑い合った。

そんな二人を見ていたアルミンやコニー、ジャン達も顔を見合わせ笑う。
イェレナがリリアとリヴァイの元へやってきた事は聞いていたが正直心配だった。
しかし今のこのやりとりを見てもう心配はいらないと確信が出来た。


ちゃんとキャッチボールが出来ている。


大丈夫だろう、と。

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