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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第88章 #88 キャッチボール



「じゃあ次リヴァイー!」
「あ?」

イェレナがグローブを外しリヴァイに渡す。
それを確認したリリアはボールを投げる構えをしたが、明らかに先程のイェレナの時とフォームが違う。


嫌な予感しかしない。


「行くよー!!ん〜〜……」
「ちょっと待てリリア。テメェ今明らかにおかしいぞ」

「うらぁぁぁあぁあ!!!」


瞬きなど出来る余裕もなかった。
ボールはとんでもない速さでリヴァイの元に飛んでいきイェレナがリヴァイの方を見た時にはすでに車椅子が傾いていた。

「へ、兵長!!!!」

慌ててイェレナが車椅子を支え、リヴァイは転がらずに済んだ。

「あ、ごめーん!愛を込め過ぎちゃった!!」
「……重い愛だな……オイ…」


それを見ていたピークが声を上げる。
その表情は周りが引くほど怖い。
勿論リリアの身体を思っての事なのだが、あまりにも怖い。


「リリア!!!何してるの!!!」
「ご、ごめんなさい!!ピークちゃん!!もうしない、もうしない!!」


プッとイェレナが噴き出し、次第に大きな声を上げて笑い出した。

「も、もう…何なんです?あなた達…ふっ!!あははは!!」
「よし!これでイェレナと友達っ!!」
「絶対嫌です」

スンッと表情を元に戻しイェレナは冷ややかに答え、リリアは絶望的な顔をしていた。


「まぁ…顔見知りくらいにはなります」
「えぇぇぇ!?今までと変わらない……」



周囲は笑顔に満ちていた。
子供達もお菓子を食べ、玩具で遊び、笑い声が響いている。
これからはこんな風景がどんどん増えていくのだろう。

絶望の淵から皆で力を合わせ、乗り越えていくのだ。

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