第88章 #88 キャッチボール
「話とは?」
「はい!アルミン達と話していたんですけど、実は子供達にお菓子や何か遊べるような物を配布するボランティアをしようと思ってるんです。あとは植樹ですね!」
「植樹!」
「地鳴らしで緑がほぼ無くなってしまいましたからね。これから少しずつでも木を植えていこうかと」
いいね、とリリアが手を叩く。
するとオニャンコポンがイェレナの方を向き、それで?と問うた。
「イェレナは二人に言いたい事があって来たんだろ?」
「なっ…!?」
「えー?なになに?」
リリアとリヴァイがイェレナを見ると、彼女は気まずそうに下を向いた。
「その……あなた達のために何かしたくて……リヴァイ兵長は怪我をしているので生活も不便だろうし、リリアさんは妊娠中ですから何かと大変でしょう。……だから…その……私に出来る事なら何かお手伝いを…」
「イェレナ…」
「あなた達の役に立ちたいんです!」
思いを吐き出すようにイェレナはやや大きな声で自分の気持ちを言葉にした。
「やりてぇ事が見つかったのはいい事じゃねぇか。俺は助かるが」
「私も!イェレナが側にいてくれるなら安心!」
二人の返答にイェレナの肩の力が抜けた。
断られたらかなりのダメージだったろう。
すると良かったな、とオニャンコポンがイェレナの肩を叩き笑った。
「それじゃあまた詳しくはアルミン達が伝えに来ますので。俺はこの辺で失礼します」
「私も今日は失礼します」
イェレナとオニャンコポンは要件だけを伝え、家を後にした。
リリアは嬉しそうにテーブルの上に置かれたままの朝食の皿を片付け始めた。
リヴァイは紅茶を飲みながら何やら考えている。