第86章 #86 誰が為に心臓を捧げる
「リヴァイ、もう少し休んで。私、ここにいるから」
「お前に聞きたいことがある。お前、ここまでエルヴィンに心臓を捧げてただろう?アイツが死んでからも…」
「うん」
「エルヴィンの仇はとった、命令も果たした。戦争はとりあえずは終わった。ならお前はこれから誰の為に心臓を捧げる?」
リリアはジッとリヴァイを見つめた。
これから誰の為にその命をかけていくのか、それは勿論大事な人の為に、ならば答えは…。
「私は…リヴァ……」
「俺の為は無しだ」
「え…」
「出来るならこれからこの先未来を共に生きていく為に、自分自身にその心臓を捧げてほしい」
「共に……生きていく為に…」
リヴァイがフッと笑う。
「それが俺の為、子の為でもある。生き抜いたその命、大事にしてくれ」
「リヴァイ……」
「まぁ、俺はお前に心臓を捧げるけどな」
「えぇ?リヴァイは良くて私はダメなの?」
ははは、と笑い声がテントに響く。
リリアとリヴァイは手を繋いだ、何度も離れそうになった手をもう離しはしない。
高い高い壁を乗り越え
これから先、未来を共に生きていく…
私達は
自由だ