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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第86章 #86 誰が為に心臓を捧げる



「そうだ、みんなにお願いをしようと思ってたんだった」
「お願い、ですか?」
「うん、私の事『リリア兵長』って呼ぶのやめてもらおうと思って。もう調査兵団でもないし、戦うこともないだろうし階級はもういらないなって思って」
「分かりました。じゃあ今度からは『リリアさん』って呼ばせてもらいます」

アルミンがそう答え、ジャンとコニーも笑顔で頷いていた。
その時、テントが開きピークとガビ、ファルコが入ってきた。
ピークはガビやファルコに比べると怪我が酷いが、動けるようだ。
何故3人がここに来たのか、皆が首を傾げる。


「ちょっとリリアに用事」
「え?私?」
「あなた、ちゃんと先生に診てもらってないでしょ?お腹の子の事」

あー、とリリアがお腹を摩りながら答える。
特に変化もないので診てもらうつもりはなかったようで、やはり、とピークが大きく息を吐く。

「そうだと思ったから引っ張りに来たの。やっと医師を見つけたから、専門ではないけど一応診てもらいに行くわよ」
「えー…でもリヴァイ…」
「リヴァイ兵長はアルミン達に見ててもらいなさい!ほら、立つ!!すぐ終わるから!」

ガタガタと慌ててリリアが立ち上がる。
ピークの顔が恐ろしい事になっている。これで断ったら後が怖い。

「リリアさん、行ってきてください。リヴァイ兵長の事は僕達が見てますから」
「うん、ごめんね。行ってくる」

アルミン、コニー、ジャンは手を振ってリリアを見送った。
そしてまだ眠っているリヴァイを見ると、コニーが口を開く。

「でもよ、リヴァイ兵長目が覚めてリリアさんがいなかったら騒ぎそうだな…」
「う、うん」
「こうなりゃアルミンが一番にリヴァイ兵長の視界に入る事だな」

ジャンの提案にアルミンが首を傾げる。
何故自分が一番に視界に入らねばならないのか。

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