第86章 #86 誰が為に心臓を捧げる
戦いが終わり3日、簡易的に作られた救護テントの中でリヴァイは眠っていた。
あれから一度も目を覚まさない。
リリアは心配そうに彼を見つめ頬を撫でた。
「リヴァイ……大丈夫だよね…このまま起きないとかやめてよ」
返事のないリヴァイの頭を優しくそっと抱きしめる。
呼吸を確認出来るのだけが唯一の救いだ。
その時。
「リリア兵長」
名を呼ばれ振り向くとアルミンとジャン、コニーがテントの中に入ってきた。
「リヴァイ兵長の様子はどうですか?」
「まだ目が覚めない。でも呼吸も落ち着いてるから大丈夫だと思うよ」
リリアは立ち上がると皆が座る椅子を出し、すみません、と3人が座る。
すると少し元気のないコニーの姿にリリアは首を傾げた。
「コニー?大丈夫?具合悪い?」
「え?いや、そうじゃないです……ただ…母ちゃん大丈夫かなって…。ジャンも家族が心配だろ?」
「……まぁ、な…。俺達パラディ島に背いた人間だからな」
「多分、大丈夫だと思うよ」
そう答えたリリアを皆が見る。
「パラディ島にはヒストリアがいるもの。きっと何とかしてくれてるはず。信じよう?」
「そうだな……ヒストリアがいるもんな!大丈夫だ!」
うんうん、とリリアが頷く。
するとリリアが何かを思い出したかのようにあっ、と声を上げた。