• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第85章 #85 真相



リリアは自分の左腕を見た。
巨人に持っていかれた左腕、しかしそんな事はなかったかのように左腕はそこに存在した。
見れば身体中にあった怪我も一切なくなっている。

「……全部治してくれたの?」

そっとお腹に触れる。
おそらく巨人の力がなくなる前に左腕と全ての傷をお腹の中の子が元に戻したのだ。

「ありがとう……」


リリアは立ち上がるとリヴァイを探した。
近くにはいない、一体リヴァイはどこに落ちてしまったのだろうか。





その頃、リヴァイは大きな岩を背にボウッと前を見つめていた。
辺りを漂う煙の中に、かつての仲間の気配を感じる、見渡すとエルヴィンやハンジ、ペトラ、グンタ、エルド、オルオ、死んでいった調査兵団の仲間達がリヴァイを見ていた。

「よぉ、お前ら。見ていてくれたか?これが結末らしい。お前らが捧げた心臓の……」

リヴァイはゆっくりと右手を胸に当て敬礼をすると、温かい涙が一筋、頰を伝った。
煙と共に仲間達は消えていき、ただ一人エルヴィンだけがリヴァイの前に残る。

「エルヴィン……消える前にお前に一つ頼みがある…」

リヴァイはエルヴィンを見つめた。

「お前が死んで……リリアを…俺なりに精一杯守ってきた……アイツが悲しくないように、寂しくないように。でもよ…だんだんと日が経つにつれて……アイツがいないとダメになったのは俺の方だった…」

いつも側にいたくて、笑って欲しくて

「泣き虫で自分勝手で、甘えたがりで……でも…好きだ…。アイツがいないと俺はダメだ。だから……お前が大事に育ててきた妹を………俺に…くれないか」

エルヴィンはただジッとリヴァイを見ている。
さらにリヴァイは続けた。


「絶対に……絶対に幸せにする」


するとエルヴィンはニコッと笑い、ゆっくり煙と共に消えていった。
リヴァイが視線を下げる。
もう体に力が入らない、何だか意識も少し朦朧としてきた。
その時だ。

/ 1007ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp