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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第85章 #85 真相



「進撃の巨人の力で見た未来のために……すべては突き放したアルミン達を…オレを討ち取り人類を滅亡から救った英雄に仕立て上げるため」
「アルミン達を?」
「アルミン達は生き残った人類全ての恩人になる、『島の悪魔』でありながらパラディ島に背き人道を貫いた。この世で最も敬意を表される存在になるはず」

リリアは少し考えた。
確かにそれはアルミン達を英雄には出来るだろう。
しかしそれでもパラディ島を良く思わない人もたくさんいるはず。
いつかはパラディ島に報復に来る。そして再び戦争が始まるのではないか。

「でもやっぱりパラディ島にいつかは報復が来ない?」
「すぐに報復は出来ません。地鳴らしで人類の8割を殺す事になります。戦争なんか出来ないです」
「……それでもいつかは戦争が起こる…。ただの時間稼ぎって事なんだね……」
「……それは分かりません。これから先の人々の行動によって変わるでしょう。でも暫くは戦いは起こりません」

暫く沈黙が続く。
耳に入るのは波の音だけ。
するとエレンがゆっくり口を開いた。


「始祖ユミルが二千年間フリッツ王に従い続けているから巨人の力が今も存在する。故郷を焼かれ、親を殺され…舌を抜かれた相手に、神に等しい力を手にした後も従順であり続けた」

え、とリリアはエレンを見つめる。

「始祖ユミルは…フリッツを愛していた。それが二千年経ってもユミルを縛り続けていたものの正体です」
「どうしてそこまで……」
「始祖ユミルの心の奥深くまで理解する事は出来ません。でも彼女は苦しんでいた。二千年間ずっと…愛の苦しみから解放してくれる誰かを求め続け…ついに現れた。それがミカサです」

リリアが首を傾げる。
何故そこでミカサの名前が出てくるのだろう。
しかしエレンもどうしてミカサなのかは分からない、そしてミカサが何をするのかも分からないと言う。

エレンが分かっていたのはミカサの選択がもたらす結果、全てその結果に行き着くためだけにエレンは進み続けた。


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