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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第85章 #85 真相



……長……兵長……

(誰かが呼んでる……この声は…)

……リリア兵長…

(エレン?)



名前を呼ばれ目を開けると、エレンが顔を覗き込んでいた。
その姿はまだエレンが調査兵団に入ったばかりの頃の姿だった。

「体は大丈夫ですか?」
「エレン……」

ゆっくり起き上がり辺りを見渡すと、何故か浜辺にいた。
ここは調査兵団が初めて海を見たあの砂浜、波の音が心地良く耳に入る。

「最後に……会いに来ました」
「…最後…?」
「きっとこの事を思い出す頃に、俺は死んでますから」
「エレン……」

エレンはゆっくりとリリアの隣に腰を下ろした。
その表情はあまり元気はなく哀しげだ。

「オレはあの勲章授与式でヒストリアに触れた時にこの世界の未来を見ました」
「やっぱりあの時だったんだね…。本当にごめん…あの時、私……自分の事でいっぱいいっぱいで…エレンを気遣う事が出来なかった」
「いいえ、良いんです。あの時はエルヴィン団長が亡くなってリリア兵長のツラさは分かっていましたから。それに例えリリア兵長が何かしようとしても未来は変わりませんでした」

リリアはキュッと唇を噛んだ。
自分がエレンを助けたくて何かをしようとしても、何も結果は変わらない、そう言われては悲しすぎる。
だがそれは事実だ。
実際エレンは地下牢でリリアに自分の行う計画を事前に話している。
しかしリリアのした事はエレンの行動に全く影響しなかった。

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