第82章 #82 戦え
「兵長……勿論です…この飛行艇を飛ばすために仲間を大勢殺しました…あれを…無意味な殺戮にするわけにはいきません……。全ては…『地鳴らし』を止めるため俺はなんだってやります」
「ジャン…」
ジャンの言葉に視線を下げたコニー。
自分もそうだ、仲間を、たくさん殺し今ここにいる。
「俺は…サムエルとダズを撃ち殺して…知ってる顔をめちゃくちゃに斬り刻んだ…裏切り者って言われながら…世界を救うためだって言い聞かせて……なぁ…ライナー……お前も…ベルトルトも…アニも……辛かったよな…」
「もう…贖うことも出来ない罪だ…残りの人類を救ったって…一生自分を許す事はないだろう」
コニーは俯いた。
そしてリリアも哀しげな顔をした。
結果的には飛行艇に乗り込む事が出来たが、自分の力を誇示するために死ななかったかもしれない仲間をたくさん殺してしまった。
ある意味、他の皆よりも理由が酷い。だからあれだけハンジが怒ったのだ、エレンと同じだ、と。
これだけはもう今更償えはしないだろう。
リリアはジッとリヴァイを見た。
「何だ?」
「いや……別に」
私は死んだらきっとリヴァイと同じ所には行けないんだろうな…
お兄ちゃんともハンジとも違う
別の所に
一人で行くんだ
何かを察したのだろう、リヴァイはリリアの背中をポンポンと優しく叩いた。
「だから…まぁ…せめて……残りの人類を救おうぜ」
「…そうだなライナー……贖う事が出来なくても、とにかく…やる…しかねぇよな…」
「そうだ…俺達は同じだ…ライナー……お前を責める資格なんて無かったんだ…俺は…人を救うため人殺しになった…」
森の中で皆で火を囲った際、ジャンはライナーを責めた。
しかし今となってはどんなにライナーが辛かったのかが身に染みて分かる。
ライナー達だって好きで人を殺したわけじゃない、仲間を殺したわけではない。