第81章 #81 調査兵団として
「心臓を捧げよ」
ハンジは目を見開いた。
リヴァイからこの言葉を聞くのは初めてだ、リヴァイなりの覚悟を決めたハンジへの送り出しだ。
「ハハッ、君が言ってんの初めて聞いたよ」
そしてハンジはリリアを見た。
リリアは今にも泣き出しそうな表情をしている、ハンジは彼女の肩を掴むと顔を見つめた。
「リリア、どうか泣かないで。最後に見るリリアの顔を泣き顔にしたくないんだよ」
「………ハンジ…」
「ごめんね、さっきの話……良い方法を考えるって言ったのに…無理そうだ」
「……そんな事……」
ハンジは優しく微笑むとリリアのお腹を撫でた。
「いいな……私も次に生まれ変わるなら…リリアとリヴァイの子供に生まれ変わりたい……きっと…幸せになる」
「ハンジ……」
するとハンジは力一杯リリアを抱きしめ、リリアもハンジを抱き返した。
「……可愛くて泣き虫でお兄ちゃん大好きで…甘えんぼで誰よりも優しいリリア……もっとずっと一緒にいたかった……楽しかった日々を…ありがとう」
「………」
「リリア……大好きだよ。絶対幸せになるんだよ!!」
ハンジがリリアから離れる。
リリアは肩で大きく息をし、泣くのを必死に堪えているようだ。
覚悟を決めたハンジの前で泣けない、ここで泣いたらハンジの決意が鈍ってしまう。
手を握りしめると、リリアは大きく息を吐きハンジを見つめた。
そして強い眼差しを向け、拳を胸に当て敬礼をする。
「ハンジ団長、行ってらっしゃい!!」
ハンジは目を見開くと口角を上げた。
最後は"調査兵団"としてハンジを送り出す、リリアの気持ちを受け取った。
「あぁ!!あとは任せたよ!!リリア兵士長!!」