第81章 #81 調査兵団として
「フロック!?まさか…船にしがみついてここまで」
「ハンジさん!!燃料タンクに穴が!!」
オニャンコポンの言葉にハンジが燃料タンクを見ると確かに穴が空いていた。
離陸まであと少しだったのにこれでは飛べない。
皆に不安が走る中、リリアはその場にジッと立ち止まり足元に何かを感じた。
地面に接している足に微かな地響きを感じる。
「リリア」
「……」
リリアは視線だけをリヴァイに向けた。
来ている、そうリヴァイに言いたげだ。
「これじゃ…飛行できません!!」
「まだだ、塞げば何とかなる…溶接の準備を!!動ける者はエンジンを調べろ!!」
「どのくらいかかります!?」
「…ブリキで塞げばなんとか…1時間で…」
するとゴゴゴという地鳴りが皆の耳に入り、体に振動を感じ始めた。
「ッ…!!」
「この音は…」
「…まさか」
ライナーが格納庫から飛び出し音のする方を確認する。
視界に入ったのは大量の巨人達、ついにオディハにまで地鳴らしが到着したのだ。
今すぐ離陸しなければもう間に合わない。
「来た……地鳴らしが…来た!!」
「行く…な……行かないで…くれ…」
フロックが消えそうな声で呟く。
「早くエンジンを調べろ!!急げ!!燃料はいつでも注げる状態にしろ!!」
「島の…みんな……殺…される……俺…達の…悪魔…それだけ…希…望」
「フロック…」
そう言うとフロックは息を引き取った。
ハンジはフロックの死を確認すると小さく呟いた。
「…死んだ。確かに君の言う通りだよフロック…でも…諦められないんだ。今日はダメでも…いつの日か…って」
格納庫を出て巨人達の距離を確認すると、もうすぐそこまで巨人は来ている、考える時間はない。