第81章 #81 調査兵団として
日はすでに昇り、皆は準備を終え格納庫の外で待機をしていた。
リリアも皆と合流し、リヴァイの側で時を待つ。
「ハンジさん!あと1時間ほどで離陸準備に入ります!!」
「分かった!!聞いての通りだ。それぞれの装備の点検を行ってくれ」
「了解!」
リヴァイはグッと力を入れブレードの柄を握った。
指が欠損しているために今まで通りには握れない。皆が心配そうに見つめる。
「…2本も指がありゃ十分だ。問題ねぇ」
リリアは離れて話しているライナーとピーク、アニの方を見た。
アニはここで離脱、戦いには加わらない。
ガビとファルコも飛行艇には乗せない、あの子達はまだ幼すぎる。子供を戦いに連れて行くわけにはいかないのだ。
リリアは少し離れる、とリヴァイの肩を叩いて彼らの方へ向かった。
「アニ」
「何か?」
「ここまでありがとう、ガビとファルコをよろしくね」
「分かってる……。リリア兵長」
アニはジッとリリアを見つめた。
「結晶化してからも声だけは聞こえてた。アンタの言葉もね……」
"おい……お前のせいでどれだけの人が死んだと思う……お前のせいでどれだけの人が家族の元へ戻れなかったと思う!!"
「謝って済む事じゃない…でも……ごめんなさい」
「……もう全てを知ってしまったから…アニを責めるなんて出来ないよ。私も……ここまでたくさんの命を奪ってきた。きっとその人達ももっと生きたかったし、帰る場所があったはず」
リリアはアニの手を取った。
「つらかったね……」
「……アンタとはもっと話してみたかったよ……」
ギュッと握り返され、リリアは笑った。
するとアニは向こうにいる104期のメンバー達に手を振った。
そんなアニを見つめるアルミンの顔は少し寂しそうに見える。