第79章 #79 過去の謝罪
「それにしてもお腹の中の子供は凄いね。完全に巨人化の力を使いこなしてる感じがするよ。またリリアの体だけ修復して巨人化を止めてたんだ」
「……お兄ちゃんが……」
「ん?エルヴィン?」
「お兄ちゃんがいてね、ずっと話してたの。リリアはどうしたいのかって…私がもう生きられないからって言ったら俺が助けるから大丈夫って」
「…俺が助ける、ねぇ」
「なんか最後に……"俺は結構タフだから、少々飛んだり跳ねたりしても構わない"って言ってた」
「え?あ……あははは!!!」
急にお腹を抱えてハンジが笑いだし、リリアのお腹をさすった。
何だかそのさすり方は今までに比べてほんの少しだけ力が入っているように感じる。
「ははは!!!あ〜!やっぱりじゃないか!!ねっ!」
「ハンジ?」
「いやいや通りで巨人化が止まるわけだ!なるほど…ふふふ!」
「?」
「話は終わりだよ。リリアもゆっくり休みなさい」
立ち上がるとハンジはリリアの手を引き、リリアと共に部屋を出て用意された船室に向かった。
その途中もハンジは何かを思い出すかのように笑っていた。
みんなの予想が大当たりだ、とかリヴァイの反応が見たい、とかリリアは意味が分からずずっと首を傾げていた。
部屋に到着し中に入るとリリアをベッドに寝かし、布団を掛けると、ハンジは頭を撫でた。
「ゆっくりお休み」
「うん……ねぇハンジ」
「なんだい?」
「リヴァイも怒ってるかな」
「どうかな、後で二人で話してごらん」
優しく撫でられ、リリアはゆっくりと目を閉じるとこう呟いた。
「ハンジ……叱ってくれてありがとう。大好き…」
するとリリアはすぐに意識を手放した。
ハンジは微笑んでリリアの額にそっとキスを落とす。
「おやすみリリア。私も大好きだよ」