第79章 #79 過去の謝罪
「もう……リリアのあの姿を見た時に…倒れそうだった……大事な…大好きな人のあんな姿を見て…見捨てる選択をしなくちゃいけない私の気持ちが……分かるかい?」
「ハンジ……」
「もう二度と……しないでくれ…」
「うっ…うっ……うぅう……ごめんなさい…ごめんなさい…!ハンジ…ごめんなさい!」
泣きじゃくるリリアの背中をハンジは優しく撫でた。
リリアの温かい体温を感じ、目が熱くなる。
生きている
もう無理だと思うような酷い状態だったのに
今こうしていられる事が本当に奇跡だ
ハンジはゆっくりリリアから離れた。
「体は平気?」
「うん……」
「ごめんね、こんなに泣かせるつもりはなかったんだよ。私もリヴァイと同じでリリアの笑顔が好きだからね。でも信じて欲しい、私はリリアが大事だからこそ、こんなにも強く言ったんだよ」
「分かってる。ありがとう…」
ハンジはポケットからハンカチを出すとリリアの涙を拭いた。
すると後方から何やらヒソヒソと声が聞こえてくる。
「終わったか?」
「だ、大丈夫みたい…」
ハンジが振り向くとそこには何故かミカサやアルミン、ジャンが心配そうにこちらを見ていた。
「何してんの?」
「あ!いや……その……あまりにもハンジさんの怒鳴り声とリリア兵長の泣き声が凄くて心配で……あの…俺達もたくさん仲間を殺しました。だからその…リリア兵長ばかり強く責めないで下さい…。俺達も一緒です…」
ジャンが小さな声でハンジに意見する。
「それはその通りだよ。勿論私もね。でもリリアのやった事は動機があまりにも自分勝手過ぎたんだ」
リリアが落ち込み下を向く。
するとハンジは息を吐くとリリアの頭を撫でた。もう怒るつもりはないらしい。
「でももう説教は終わり。これ以上は言わないから君達も部屋に戻って休みなさい」
「……はい」
お疲れ様です、と3人はその場から去りハンジはやれやれと息を吐いたが、その顔は柔らかかった。