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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第78章 #78 世界で一番愛してる



ハンジは口を開けたままリヴァイの肩を揺すった。
リヴァイも言葉がない。

「嘘でしょ…こんな奇跡ってある?お腹の中の子供が…完全に巨人化の能力を使いこなしてる。本当にリリアのために………凄い…」

その時だ。
驚きのあまり誰も動けない中、ただ一人リリアに向かって船を降りた者がいた。


イェレナだ。


皆が目を見開く。
絶対にあり得ない人物がリリアに向かって走ったからだ。
イェレナはリリアに駆け寄ると折れていない方の腕でリリアを起こし、持ち上げた。

「……イェレナ…」
「貴女くらいの小柄な体型なら…私でも片手で大丈夫です。手に力が入るならしっかり掴まってください」

リリアはギュッと落ちないようにイェレナの体にしがみ付いた。

「ねぇ…イェレナ……私達って似てるよね」
「…同じ事を先程ファルコにも言われました…」
「別の場所で出会えてたら……きっと良い友達になれたと思うんだ…」

へへ、とリリアが笑う。
イェレナからの返事はない。

「ねぇねぇ……今からでも遅くないと思う。友達になろうよ……イェレナ」
「冗談じゃないですよ。貴女なんかと友達になんかなりたくありません」
「あはは……ケチ…」


イェレナがリリアを抱えて船に乗り込んだその直後、船が港から出港した。
その時だ、港にあったもう一隻の船が爆音と共に爆発したのだ。
皆が驚き爆発した船を見る。おそらくパラディ島の兵士らが追いかけてこないよう、マガトが船を爆破させたのだろう。

「マガト元帥……」

ハンジは爆発した船に向かって頭を下げた。
するとリリアを下ろしたイェレナがバタンっと床に倒れてしまった。

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