第78章 #78 世界で一番愛してる
「すまない……リリア、やはりお前は戻らなければ」
「お兄ちゃん……」
「もう…俺からは卒業だ。戻ったら安全な場所でリヴァイに力一杯抱きしめてもらいなさい」
エルヴィンはリリアから離れるとニコッと優しく微笑んだ。
「お前達の幸せを願ってる。きっとあともう少し、もう少しだから頑張りなさい。俺も…出来る限りお前を守るよ」
先程からエルヴィンが言っている意味が分からない時がある。
"俺が助けるよ"
"お前を守るよ"
まるで自分がすぐ側にいる、そう言っているようだ。
魂的なものでなく、存在的に。
しかしエルヴィンの話す感じではもうお別れしなければならないのだろう。
ならば聞きたい、最後に貴方の言葉で。
「お兄ちゃん、最後に一つだけ聞かせて?」
「何だ?」
「私の事……好き?」
その問いにエルヴィンは優しい笑顔をリリアに向けた。
大好きな、大好きなその笑顔。
貴方の素敵な笑顔を絶対に忘れない。
「当たり前だ。世界で一番愛している」
すると急にリリアの体が重くなりその場に座り込んでしまった。
意識がだんだんと遠くなり、眠いわけではないのに瞼が重い。
「お……にぃ……ちゃ…」
声が出なくなっている。
開けたいのに瞼が閉じてしまい、エルヴィンの姿が見れない。
エルヴィンはリリアの前に膝を着くとリリアの手を握った。
「リリア、俺は結構タフだから飛んだり跳ねたりして構わないぞ」
「え……」
「また会おう。全てが終わった後に……」
(それはどういう意味なの?お兄ちゃん)